気まぐれな吹雪

突然の事故で命を失ってしまった一人の少女。目の前に現れた神を名乗る人物によって、別世界で新たな人生を歩むことになった。
そこは、リボーンの世界。
原作を歩むか否か。それは本人が決めること。さて、彼女はどう生きるのか。
 原作:家庭教師ヒットマンREBORN!

 

第零章、プロローグ

  • 0、────

    ◊目の前に広がるこの光景はなんだろう。知っているような、知らないような、見たいような、見たくないような。あまりにも現実味がなくて、まるで、夢か物語でも見ているのではないかと、そんなことを言いたくなる気分にでもなりそうな景色だ。視界の先には、…

第一章、平凡な日常

  • 1、『霜月要、享年11歳』

    ◊軽快な目覚まし時計の音で目が覚めた。寝ぼけ眼のまま布団から手を伸ばしてスヌーズごと止めると、静かに起き上がって小さく伸びをした。「……夢、か」冬の初めだというのに寝汗をかいており、パジャマが肌に張り付いて気持ち悪い。嫌な夢を見ていた気がす…

  • 2、『行くよ、並盛中学校』

    ◊軽快な目覚まし時計の音で目が覚めた。寝ぼけ眼のまま布団から手を伸ばしてスヌーズごと止めると、静かに起き上がって小さく伸びをした。「……夢、か」冬の真っ最中だというのに寝汗をかいており、パジャマが肌に張り付いて気持ち悪い。嫌な夢を見ていた気…

  • 3、『で、何これ』

    ◊電車とバスを乗り継ぐこと数時間。遂に並盛の地に到着した。入院している間に手続きを済ませた家に向かうために、地図とスーツケースを手に町を歩きだした。事故のケガはそれなりのもので、完治するまでに数ヶ月の期間を要した。おかげでとっくに3月には突…

  • 4、『入学おめでとうございます』

    ◊『新入生の皆さん、入学おめでとうございます』12年ぶりに銀と会ったあの日からかなりの時間が経った(日にち換算でのかなりであって月換算でいえば1ヶ月程度である)。今は並盛中学校の入学式に出ている。どうにもこうにも、俺は1―A、つまりは原作メ…

  • 5、『ありがたく頂戴します』

    ◊「霜月さん」聞きなれない声がかけられる。女の声である時点で沢田綱吉の声ではない。沢田綱吉の声でないのはいいけれど、なんだか嫌な予感のする声でもある。聞きなれないとはいえ、一度耳にした声は忘れない。そう、この声は――「長谷川、やちる」「こん…

  • 6、『笹川京子、俺と付き合ってください!!』

    ◊「んー、涼しくて気持ちーっ」爽やかな風が吹き抜ける中で軽く背伸びをする。入学してからしばらくの間はだいぶゴタゴタしたものの、それもすぐになくなり、1人の時間を作ることに成功した要はここ最近はよく朝に屋上へとやってきていた。理由は単純至極、…

  • 7、『素性を知れば』

    ◊「霜月さん」なんか最近やたらと声をかけられるな。心の中で文句を言いながらも声のした方に顔を向ける。そこに立っていたのは不安げな表情をした沢田だった。「少し、相談いいですか……?」「……は?」†‡†‡†‡†‡†‡「変な赤ん坊に付け回されてる…

  • 8、『俺と手合わせ願えないでしょうか!』

    ◊「砂糖地獄っ!」勢いよく起き上がるとベッドに寝ていた。いや待てなんだよ砂糖地獄って。どんな夢見てんだよっていうか何て典型的な目の覚まし方。とんでもねえ悪夢だな。向こう一週間はケーキ屋に入りたくない気分だ。「って、うわ、昨日風呂に入んないで…

  • 9、『退学クライシス』

    ◊その日、教室内の空気は少しピリピリとしていた。それもそのはずで、今日、というよりもたった今、理科のテストが返却されるのだ。しかも担当教師は生徒いびりに定評のある根津である。点数のことが気が気ではない生徒たちの思いが蔓延していた。とは言って…

  • 10、『テメェが神を見捨ててんだ』

    爽やかな風が吹き抜ける屋上。そこで一人の人物が空を見上げながら寝そべっていた。エメラルドグリーンの髪が風に揺れる。太陽の光にまどろみを覚え始めたころ、静寂を破る“彼”が姿を現した。「よ、山本」「霜月……っ」視線を動かすことなく、要は寝そべっ…

  • 11、『ちょっと用事思い出したから帰るわ』

    ◊こんちゃっす。相変わらず屋上で時間を潰している要です。とは言っても今日は単なる暇つぶしでもない訳で、正確にはアレを見に来てんだよ。ほら、えっと、なんて言うべきなんだこのイベントは。『山本の入ファミリー試験を始めるぞ』あ、そうそう、武の入フ…

  • 12、『運試しでもやるか?』

    ◊朝起きてリビングに行くと、小包が届いていた。まさかの宅配と言う過程をすっ飛ばした置き土産だ。加えてどこにも送り主が書いてない。……怪しすぎる。「開けたら爆発……とか、ねえよな」どこのクトゥルフだ。なんてツッコミも不毛に思えてきた。恐る恐る…

  • 13、『問七です』

    ◊時間が過ぎるのはなんて早いんだろうか。気づけば入学から早3ヶ月半、つまるところは夏休みに突入した。ひたすら並盛の巡回をさせられたおかげで引っ越しをして半年の割にはだいぶ地理に強くなった気がする。路地裏から抜け道までどんとこい。ところで夏休…

  • 14、『あと5分経ってから』

    ◊「では、この課題を明日までに終わらせてくださいね。1問でも解けなければ落第となってしまいますからね」『ええ~っ』夏休み真っ盛りな今日、蒸し暑い教室に、やる気も覇気もない少人数のブーイングが響いた。ここにいるのは全員が俺を含む赤点補習組。期…

  • 15、『1人で寂しそう』

    夏休みも半ば。1件も来ない着信に胸を踊らせて、俺は近所の公園へとやってきていた。夏休みだというのに私服でいること自体が珍しくなるなんて、だいぶ風紀委員に毒されてるな。ちなみに宿題は合間を縫ってなんとか殆ど片付けた。自由研究とかいう意味のわか…

  • 16、『本日8月8日は何の日だ』

    ◊どうも、相も変わらず夏休みを満喫している要です。うん、そろそろこのくだりいらねぇよな。俺の近況報告なんて誰が楽しいんだ。そもそも俺は誰に向かって喋ってるんだ。暑さで頭がおかしくなったかコノヤロー。ちなみに外は気温30℃近くの夏日。そんな中…

  • 17、『読書感想文が終わらない』

    ◊「ねえ霜月、ちょっと時間あるかしら」長かったような短かったような夏休みも終盤、特にすることもなく学校を訪れていた俺だったが、そんな最中にあまりに意外な人物から声をかけられた。「え、まあ暇だし……。ていうかいきなり声かけんな黒川、心臓に悪い…

  • 18、『おっ、ここが応接室か』

    ◊それは、長かった夏休みも明けて2学期に入ってまもなくの事だった。「ねえ、君」応接室にて、夏休み明けにおいて増えに増えまくった書類をいつものように仕分けしていると、唐突に雲雀から声をかけられた。一体なんのこっちゃと思い振り返る。「今日から君…

  • 19、『親友の証』

    ◊夏休みも明けて間もない休日。現在、特に風紀委員の方で呼び出されることもなくやることもなしに暇人である俺は、並盛商店街へとやって来ていた。隣にあるのは夏休みにできた友達、三千院凪の姿。まずは、何がどういう経緯でこの状況に至ったのかを話すこと…

  • 20、『体育祭』

    ◊2学期に入ってから、そこそこの月日が経過した。残暑とはお世辞にも言い難い蒸し暑さに包まれる中、並盛中に、ついにあれの季節がやってきた。え、何の季節かって? 察してくれ、体育祭だ。書類の仕分けをやってたら、さりげなあく存在してくれてやがった…

  • 21、『なんで呼ばれた?』

    ◊「要、仕事だよ」始まりはその一言だった。「仕事? また書類整理でもやんの?」「違うよ。いいからついてきて」それは何でもない休日のこと。特にすることもなく暇だったために草壁さんとお喋りをしようと思い応接室へと赴いた俺だったのだが、入室した途…

  • 22、『俺の誕生日』

    ◊11月2日。1年365日という流れの中で、ごく普通の時間が流れていくこの日、しかし忘れてはいけないとても特別な日でもある。12年前の今日、初霜が下りたこの日、一人の女の子が誕生した。「というわけで、今から会場設営を始めます」場所は霜月家。…

  • 23、『恭が入院した』

    ◊緊急事態発生。緊急事態発生。雲雀恭弥が入院した。年の瀬も近くなってきたこの頃。気温も急激に下がり、防寒グッズが欲しくなってきたこの時期。その連絡は入ってきた。「委員長が風邪をこじらせてしまって……」死すらも逃げ出すんじゃないかと思われたあ…